ベトナムの政労使で構成する国家賃金評議会は、6月23日に2021年の最低賃金に関する第1回の協議を行いました。会合では、21年末まで最低賃金を据え置くことを含めた2案が示され、グイラオドン紙(電子版)が23日に報じました。
最低賃金は経済の発展度に応じて4つの地域区分があり、現在は第1地域(ハノイやホーチミン市)が月額442万ドン(約191米ドル)、第2地域は392万ドン、第3地域は343万ドン、第4地域は307万ドンとなっています。
過去の最低賃金上昇率は、2013年ごろの消費者物価指数(CPI)上昇率とGDP成長率を大きく上回っていたが、2017年からCPI上昇率との差が縮小し、2018年以降はGDP成長率より低い水準に落ち着いています(図参照)。
最低賃金を討議する評議会の議長は、労働・傷病軍人・社会事業省のレ・バン・タイン次官が務めました。会合では、評議会の専門家グループが最低賃金の据え置き案に加え、賃上げの開始時期を21年7月1日に半年先送りする案を提示しました。賃上げ率は2.5%とし、生計費の上昇を考慮する考えを示しました。この案では最低賃金が8万~10万ドン上昇することになります。
労働組合の中央組織であるベトナム労働総同盟(VGCL) のゴ・ズイ・ヒエウ副議長は、新型コロナウイルスによる深刻な影響が出ており、最低賃金をめぐる協議はこれまでとは様変わりしたと発表しました。
ベトナム商工会議所(VCCI)のホアン・クアン・フォン副会頭は、企業が新型コロナの影響を被っており、多くの中小企業は廃業を余儀なくされていると指摘しました。「最低賃金を引き上げるかどうかは、注意深く検討する必要がある」とし、賃上げへの慎重姿勢を滲ませました。
国家賃金評議会は、次回の会議で協議後に結論を出すことで合意しました。これまでは結論に至るまで3~4回会議を行って続いていきます。