ベトナムは、国内においては新型コロナウイルスが終息しており、17日時点の国内感染者数は計332人で、うち316人が既に回復している。死亡者は未だ確認されていない。
6月9日にフック首相は政府会合で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に関する新たな指導方針を発表し、ベトナムと一部の国を結ぶ国際線の運航再開について指導した。
さらにフック首相は、「ベトナムは過去30日間新型コロナウイルスへの新規感染事例が報告されていない国と地域間での国際線再開を検討しているが、依然としてパンデミックの複雑性を考慮し、慎重に決断する必要がある」と発言した。
ベトナムの新型コロナウイルス感染症予防国家指導委員会は、「安全な」国のリストを作成するよう要請されているとフック首相は明らかにしている。国際線再開の優先ルートとして広州、東京、ソウル、台湾、ラオス、カンボジアを挙げている。これについて、各国政府や航空各社と協議したかどうかは明らかにしていない。
また、首相は会合で外務省と交通運輸省に対し、帰国を希望するベトナム人専用の特別便の運航を増やすほか、外国人の技術者や投資家、高技能労働者が円滑にベトナムへ入国できる環境を整えるよう指導した。
ベトナムの国際線再開について、企業と国民の意見は、安全に焦点を当てるべきという意見と、経済成長にも焦点を当てるべきという意見で真っ二つに割れている。
ベトナム国内では、新型コロナウイルスが世界的に封じ込められた場合にのみ国際線を再開すべきだという声が上がっている一方、国際線再開が経済回復につながるという意見もみられる。
アイスクリームと加工食品の生産を行うKido社のCEOであるTran Le Nguyen氏は、ベトナムは新型コロナウイルスの封じ込めを最優先すべきであり、当局はウイルスへの感染リスクが無い場合にのみ国際線の再開を許可すべきだと述べた。
また、Tran氏は、貿易はベトナムの経済に利益をもたらすが国内市場にも可能性があるとし、企業がベトナム国内の消費者市場を活用できれば、国内経済は徐々に再開し、国内旅行も成長し輸送およびサービス分野に利益をもたらすだろうと語った。
一方で、国際線の再開が経済の成長につながることを期待している企業も多い。
乳製品大手のVinamilk社のCEOであるMai Kieu Lien氏は、新型コロナウイルスのワクチンが開発されるまで、ベトナムが国境を閉鎖し続けることは現実的ではないと語った。
また、同氏は、国際線の再開は大胆かつ前向きな一歩になり得るとし、ベトナム企業が輸出を拡大できるようになると付け加えた。
国際線再開については、ウイルスの封じ込めと経済回復の両面を考慮するべきという意見も上がっている。
レストランチェーン Otoke Chickenの創設者であるMai Truong Giang氏は、国際線の再開は可能だが、新型コロナウイルスが十分に終息した国・地域のみを対象にすべきだと語った。
ベトナムと運航再開路線の国が新型コロナウイルスの安全対策を厳しく実施することができるのであれば、国際線を再開することで貿易と経済の回復の機会を生み出すことに繋がるとMai氏は述べた。