内容
4. 労働許可証が発行されないケース
5. 外国人向け労働許可証申請手続き
5.1 権限ある機関への申請書提出
5. 2 書類審査と労働許可証の発行
6.1 外国人労働者に対する罰則
6.2 外国人労働者を雇用する企業・団体への罰則
以下に解説いたします。
4.労働許可証が発行されないケース
外国人がベトナムで働くためには労働許可証が必要です。しかし、いくつかのケースでは労働許可証がなくても、外国人労働者が合法的にベトナムで働くことが認められます。これは、「ベトナムにおける外国人労働者の雇用および管理に関する規定」(2020年の政令152/2020/NĐ-CP 第7条)に基づきます。以下の条件に該当する外国人労働者には労働許可証が不要です。
- 有限責任会社の所有者または出資メンバーであり、出資額が30億ドン以上の者。
- 株式会社の取締役会会長または取締役会メンバーであり、出資額が30億ドン以上の者。
- 国際組織または外国の非政府組織において代表事務所長、プロジェクト責任者、または主要な責任を持つ者。
- 3か月以内の期間でベトナムに入国し、サービスを販売するために来た者。
- 3か月以内の期間でベトナムに入国し、技術的な問題やトラブルを解決するために来た者(ベトナム人専門家および他の外国人専門家では対応できない場合)。
- ベトナムの弁護士法に基づき、弁護士資格を持つ外国人。
- 国際条約に基づく特定のケース(ベトナムが加盟している条約)。
- ベトナム人と結婚し、ベトナム国内で生活している者。
- WTOに基づくサービス提供に関する協定の11のサービス分野に従い、企業内転勤を行う者。
- ODAプロジェクト(政府間の合意による支援プロジェクト)に関連して専門的または技術的なコンサルティングを提供する者。
- ベトナムで情報・報道活動を行うために、外務省から許可を受けた者。
- 外国の外交機関または国連の管理下にある国際学校で教育・研究を行うために派遣された者。
- ボランティアとして活動する者(政令第3条第2項に規定)。
- 30日未満の期間で管理者、経営者、専門家、または技術労働者として働き、1年間に3回以下の入国。
- 中央または地方政府機関が締結した国際協定に基づく活動。
- 海外の教育機関に在籍する学生で、ベトナムの企業・組織でインターンシップを行う者。または、ベトナムの船舶で訓練を受ける者。
- 外国の代表機関の家族(政令第2条第1項l点に規定)。
- 公用旅券を持ち、政府機関、政治機関、社会団体で活動する者。
- 商業的プロジェックを設立する責任者。
- 教育・研究のためにベトナムに来る外国人であり、教育訓練省から認定を受けた者。
このガイドに基づき、外国人労働者および雇用者はベトナムの法規制を遵守し、適切な手続きを行う必要があります。
5.外国人向け労働許可証申請手続き
ベトナムにおいて外国人労働者が労働許可証を取得するための手続きは、以下のステップで進められます。
5.1 権限ある機関への申請書提出
書類準備段階では、以下の2つの手続きを行います。
外国人労働者の採用申請の登録
外国人労働者を雇用する予定日の15日前までに、企業は「労働・傷病兵・社会省などに書類を提出し、外国人労働者の雇用理由を説明します。
労働許可証の申請書類の準備
同時に、労働許可証発行申請に以下の書類を準備します。
- 労働許可証発行申請書
- 健康診断書または医療機関による健康証明書(発行日から12か月以内のもの)
- 犯罪経歴証明書(発行日から6か月以内のもの)
- 管理者、経営者、専門家、技術者であることを証明する書類
- 4×6cmのカラー写真(背景は白)、撮影日から6か月以内のもの(2枚)
- 外国人労働者の需要承認書(外国人労働者の需要確認が不要な場合を除く)
- 有効なパスポートの認証済みコピー
- その他関連書類
外国人労働者の採用需要が承認された後、雇用者は労働・傷病兵・社会省などに、窓口または電子申請を通じて申請書類を提出します。
5.2 書類審査と労働許可証の発行
書類がすべて揃った日から5営業日以内に、労働・傷病兵・社会省などが書類を審査し、労働許可証を発行します。
労働許可証が発行されない場合、理由を記載した文書が通知されます。
※労働許可証発行に関する新規規定(2023年改定)
2023年の政令70/2023/NĐ-CPにより、以下の点が改訂されました。
- 労働許可証の条件緩和:
専門家、管理者、技術者に求められる要件が緩和され、ベトナムでの外国人労働者の雇用が容易になりました。
- 労働許可証の発行権限の変更:
経済区および工業団地管理部門が行っていた許可証の発行権限が、労働・傷病兵・社会省および各省の労働・傷病兵・社会局に移管されました。
労働許可証の有効期限が切れた場合、15日以内に雇用者は許可証を回収し、発行機関に返却する義務があります。
- 電子版労働許可証の発行:
政令70/2023/NĐ-CPでは、従来の紙の労働許可証に加え、電子版の労働許可証も発行可能となりました。
6.労許可証がない場合の処理規定
6.1 外国人労働者に対する罰則
外国人労働者は、雇用開始予定日の15日前までに労働許可証を申請する必要があります。もし、外国人労働者または雇用者が労働許可証を取得せずに就労を開始した場合、行政処分の対象となります。
- 罰金:
政令12/2022/NĐ-CPの第32条第3項によると、労働許可証を持たない、または労働許可証が不要であることを証明する書類がない外国人労働者に対しては、**15,000,000 VND ~ 25,000,000 VND(約10~17万円)**の罰金が科されます。
- 追加処罰:
上記の違反があった場合、国外退去(強制送還)の措置が取られることもあります。
6.2 外国人労働者を雇用する企業・団体への罰則
外国人労働者を雇用する企業が、労働許可証を持たない外国人を雇用した場合、違反の規模や人数に応じて以下の罰金が課されます。
- 罰金の範囲(個人の場合:30,000,000 VND ~ 75,000,000 VND、組織の場合:60,000,000 VND ~ 150,000,000 VND)
- 1人~10人の違反:
個人に対して 30,000,000 VND ~ 45,000,000 VND - 11人~20人の違反:
個人に対して 45,000,000 VND ~ 60,000,000 VND - 21人以上の違反:
個人に対して 60,000,000 VND ~ 75,000,000 VND - 違反内容:
労働許可証がない、または許可証が必要ないことを証明する書類がない場合。
労働許可証の有効期限が切れている、または承認書類が期限切れとなっている場合。
※罰則のまとめ
- 外国人労働者: 労働許可証の未取得または無効の場合、罰金と国外退去のリスクがある。
- 雇用者(企業・組織): 違反の規模に応じて、最大150,000,000 VND(約100万円)の罰金が科される可能性あり。
ベトナムで外国人労働者を雇用する際は、労働法規を遵守し、適切な手続きを踏むことが重要です。違反すると、雇用者および労働者の双方に重大な影響を及ぼす可能性があります。 何かご不明な点がございましたら、IMSへお問い合わせください。