新企業法において改定された内容 P2

前回は企業登録手続き及び社印に関する企業法改正をご説明いたしました。今回は社内の組織構成に関する変更点についてご紹介させていただきます。

④ 監査役、監査委員会の任意化

 旧企業法では一名社員有限責任会社の場合は監査役の任命が必須であり、また二名社員以上有限責 任会社で社員が 11 名以上の場合は監査委員会の設置が必須であったが、新企業法では国営企業を除き 監査役や監査委員会の設置は任意になった。現状においても、実務上必要ないなどの理由から監査役・監 査委員会を設置しない企業も多く、新企業法において実情に応じた改定がなされたと考えられる。

⑤ 法的代表者について

 新企業法では社員総会の会長、会社の会長、社長及び総社長のいずれかが会社の法的代表者になる と規定された。また、法的代表者が 2 名以上の場合は会社の定款にてそれぞれの代表者の権限及び義務 を明記するか、そうしない場合は法的代表者全員が第 3 者に対して会社の代表として取引できる。後者の 場合、いずれかの代表者が会社の代表として行った行為の結果は、法的代表者全員が責任を負うこととな る。当該規定により、代表者の権限やそれに対する会社の責任が明確化される。

⑥ 社員総会議事録の署名

 二名社員有限責任会社では少なくとも年に 1 回社員総会を開催し、議長及び作成者の確認・署名のある 議事録を作成することが旧企業法で定められた。新企業法では議長と議事録作成者が署名を拒否した場 合は社員総会に出席した他の全ての社員が議事録に署名することができる。この規定の背景は、現状では 議長又は議事録作成者が会議で決定した内容に同意せず議事録に署名を拒否した場合、議事録の有効 性が担保されない、という問題点に対応するものと考えられる。

⑦ その他の改定点:
 旧企業法では ERC 発行日から 90 日以内に資本金の振込を行う必要がありました。新企業法においてもこの 規定は変わらないが、現物出資の場合は、90 日の期間に輸入、運送及び行政手続きの時間は含まないとされました。 また、新企業法においては今まで必要とされていた法的代表者以外の管理者(委任代表者、取締役等)を 変更した時の、国家企業情報ポータルにおける通知が不要になります。

以上、企業法改正についてご説明致しましたが、ベトナムの法律は実際に施行されてからでないと、具体的な対処方法を取りづらい面もございます。どのような改正点があるのかを事前に把握することにより、今後の対処方法を準備することができますので、企業法改正についてご不明点がございましたら、お気軽に弊社までご連絡下さい。